「IPS導入編」目次

はじめに

IPSの視座:問題解決から、学びを生みだすコミュニケーションへの転換

IPSの会話をするために大切な事柄

  1. つながり
  2. 世界観─物事の捉え方(どうしてそう思うようになったのか)に意識を向ける
  3. 相互性─お互いが関係に責任を持ち、学び、成長する関わり

成長と変化の機会としての危機状況(クライシス)

おわりに

「私は、周りにいる人すべてが精神医療・福祉関係の支援者であるかのように感じていた時期がありました。あなたは、そう感じたことはありませんか? 問題を抱えているのはいつも私で、人は私の問題を解決し、私を援助するためだけに、私と時間を過ごしているかのようでした。そのような助ける側-助けられる側という一方通行の関係のあり方が、支援者以外の人間関係にも及んできて、私は自分を問題の塊のように感じ始めました。

しばらくそういう時期が続いていたのですが、やがて、私の考えを認めてくれ、私が自分自身や人との関係において責任をもつことを期待し、時には私に助けと支えを求める人たちと出会い、私は自分が他の人とそれほど違っているわけではないのだと感じ始めました。私にとって最高の関係は、その時々の、ありのままの私でいられるスペースを与えてくれ、そして、私に気づきを促すような問いかけをしてくれる人たちとの関係でした。そしてそれは、お互いにそうすることのできる関係でした。そのような関係の中で会話をしていると、病気についてはそれほど話すことはなく、その代わり、お互いにとって新しい視点を導きだすような、いろいろな考えを出し合うようになりました。このような人との関わりが、私の人生を変えることに役立ちました。

あなたは、そんなふうにお互いを認め、学びを促し合うことのできる人と出会ったことがありますか?」